こんにちは。本記事では、IEC 62061の附属書H.1について解説します。附属書H.1では、サブシステムのPFH(時間あたりの危険故障確率)を評価する簡易アプローチが提案されています。

概要

この附属書では、サブシステムのPFHを評価するための簡易アプローチとして、テーブル割り当てアプローチが提案されています。このアプローチにより、設計エンジニアは迅速かつ簡単にサブシステムのPFHを評価し、機械の安全性を確保する上で重要な意思決定を行うことができます。

テーブル割り当てアプローチの手順

テーブル割り当てアプローチは、サブシステムのPFHを評価するための簡単な方法です。手順は以下の通りです。

  1. まず、サブシステムのアーキテクチャを選択します。これは、チャネルごとの診断カバレッジ(DC)に基づいて決定されます。診断カバレッジが異なる場合は、最も低いDCを最悪のケースとして使用するか、両チャネルのDCの算術平均を使用することができます。
  2. 次にアーキテクチャ、MTTFD、DCの組合せから、表H.1および表H.2を使用して、サブシステムのPFH値を決定します。これには、以下の方法があります。
    1. 表H.1を使用して、チャネルごとのMTTFD(危険側故障までの平均時間)とDCに基づいてPFH値を割り当てます。これにより、PFHがそれぞれのSIL(安全インテグリティレベル)の限界の10%、20%、30%、40%、または50%の範囲内になるように割り当てることができます。
    2. 表H.2を使用して、B10D(10%の部品が危険側故障するまでの操作数)からチャネルごとのMTTFDを決定し、その後、表H.1を使用してPFHを割り当てます。/

デュアルチャネルで、MTTFDが異なる場合は、両チャネルのMTTFDの幾何平均を使用することができます。

テーブル割り当てアプローチの例

例1(手順1)

2つのチャネルがあり、それぞれのDCが90%と95%の場合、最低のDC(90%)を使用してサブシステムのアーキテクチャを選択できます。また、両チャネルのDCの算術平均(92.5%)を使用することもできます。これにより、エンジニアは特定のアプリケーションに最も適したアーキテクチャを選択できます。

例2(手順2.1)

DC1=90%、DC2=90%、MTTFD=60年/チャネルの場合、0.1×10-06=1×10-07がSIL 2のPFHとして割り当てられます。

例3(手順1:ワーストケース+手順2.1)

DC1 = 90 %、DC2 = 99 %、MTTFD=20年/チャンネルとした場合,DCを90 %として評価し、デュアルチャネルのDC ≥ 60 %、MTTFD=20年から、 0.3 × 10-05 = 3 × 10-06を割り当てることができます。

例4(手順2.1:異なるMTTFD)

DC1 = 99 %,DC2 = 99 %,MTTFD1 = 20 年,MTTFD2 = 200 年の場合、チャネルあたりのMTTFD=√20×200=63.2年となり、SIL 3 の0,5 x 10-07 = 5 x 10-08 を割り当てることができます。

まとめ

この簡易アプローチを使用することで、設計エンジニアは迅速かつ簡単にサブシステムのPFHを評価し、機械の安全性を確保する上で重要な意思決定を行うことができます。これにより、最適な設計を選択し、産業用機械の安全性を向上させることができます。

本記事のポイントをまとめると、IEC 62061の附属書H.1は以下のような要点を持っています:

  • PFH評価のためのテーブル割り当てアプローチが提案されている
  • PFH評価のため、アーキテクチャ、MTTFD、DCを用意する
  • 表H.1 を用いて、アーキテクチャ、MTTFD、DCから、PFHを割り当てる
  • 表H.1 を参考に、どの程度MTTFD、DCを改善すれば、PFH、SILを改善できるかを検討できる

以上が、IEC 62061の附属書H.1に関する解説です。この解説を通じて、設計エンジニアが安全性を考慮した設計の意思決定を行い、産業用機械の安全性を向上させる方法の習得の一助となれば幸いです。

それでは、次回のブログ記事でお会いしましょう。お読みいただきありがとうございました!